今回は子どもの目についてのお話です。
おぉ、ピンポイントやね。
第3回目は目の検査についてお話しします!
目の検査はどうして必要なの?
子どもの目の機能は3歳頃まで急速に発達して、6~8歳頃までにほぼ完成します。目の機能の発達を妨げるような異常があった場合、早く見つけて早く治療しないと生涯にわたって見る機能に影響が出ることになります。
ただし、子どもの場合はしっかり見えていないなど何か異常があったとしても、それがおかしいこととは思わないため、教えてくれることはほぼありません。異常を見つけるためには検査を受けることが大切です。
目の検査ってどんな検査をするんやろ?
乳幼児期に行う主な目の検査についてお話ししますね!
問診
子どもの目の問題を見つけるためには、まず普段から子どもの様子をよく見ている保護者への問診が重要です。
気になる症状がないか確認する質問は以下のようなものです。主に乳幼児健診の時に聞かれていると思います。
- 瞳が白く見えたり、光って見えることはないですか
- 目の大きさや形がおかしいと思ったことはないですか
- 視線が合いますか
- 動くものを目で追いますか
- 目がゆれることはないですか
- 目つきや目の動きがおかしいと思ったことはありませんか
- 極端にまぶしがることはないですか
- 片目を隠すと嫌がりませんか
- 子どもの頃に白内障、緑内障、網膜剥離、網膜芽細胞腫などの目の病気になったご家族ご親戚はいないですか
日本視能訓練士協会が作成した「目の健康チェックシート」も子どもの目の状態を確認するのに参考になりますので見てみてください。
問診項目で「はい」がある場合は早めに眼科を受診することが必要です。
眼位検査
斜視がないかどうかを確認する検査です。
ペンライトを両眼にあてて角膜(黒目)からの反射を確認します。左右どちらの目も黒目の真ん中に反射光が確認できれば斜視はありませんが、反射光が黒目の真ん中からずれているようであれば斜視が疑われます。
片眼ずつ隠して、眼の動きを確認する方法もあります。隠すと眼の位置がずれるようであれば斜視と判断されます。
視力検査
視力検査は実際にどの程度見えているのかを確認する検査です。子どもの理解力によっていろいろな検査方法があります。
森実式ドットカード
ウサギやクマの絵が描かれたカードを使って検査します。両眼、左眼、右眼それぞれについて検査します。
30㎝の近距離で、大きさや位置の違うウサギやクマの目がどこにあるのかを子どもに教えてもらうことでどの程度見えているのかを確認します。
厳密には通常の視力とは異なるため参考値として判断されます。
絵指標
ちょうちょ・とり・さかな・いぬの影絵が描かれたカードを使って検査します。両眼、左眼、右眼それぞれについて検査します。
近くで絵を見せて子どもに動物の名前をそれぞれ言ってもらった後、離れて見せてもその名前を言えるかどうかでどの程度見えているのかを確認します。動物の名前が言えない場合は同じ絵を選んでもらう方法もあります。
厳密には通常の視力とは異なるため参考値として判断されます。
ランドルト環単独(字ひとつ)指標
視力検査でよく見る「C」の形を「ランドルト環」と呼びます。ランドルト環が1つ描かれたカードを使って検査します。
2.5m離れてランドルト環カードを見せ、ランドルト環のどちらの方向が開いているか教えてもらうことで視力を測ります。3歳児健診で行われるのはこの方法です。
ランドルト環の開いている方向を教えてもらう方法としては、子どもにも大きいランドルト環を切り取ったものを持ってもらい、くるくる回して同じ形にしてもらう方法と、指で開いている方向を指してもらう方法があります。
0.5の指標で両眼、左眼、右眼それぞれについて検査し、上下左右4方向のうち3方向以上正答したら「異常なし」と判断されます。
くわしい検査方法については下の動画をご覧ください。
屈折検査
屈折異常(遠視・近視・乱視)がないかどうかを確認する検査です。
大人だと気球の絵が出てくる「オートレフラクトメータ」という機械をのぞきこんで検査したことがある人も多いと思います。
子どもの場合はその機械を使うこともありますが、「フォトスクリーナー」を使って検査することが多いです。フォトスクリーナーは、簡単に持ち運びのできる手持ちの機械です。遠赤外線を利用して眼の写真を撮影することで、屈折異常や斜視などがないかを簡単に確認することができます。
検査は機械から1m離れて、1人5~10秒ほど機械を見てもらうことで終了します。
子どもにやってもらうことがほとんどなく、数秒で検査が終了するので、ランドルト環などによる視力検査はできなくてもこの検査はできる場合が多いです。視力検査ができない子どもの中に屈折異常による弱視が隠れている場合もあるため、視力検査だけでなく、機械を使った屈折検査も実施することが望ましいと言われています。
ここ数年でコンパクトかつ簡単に検査できる機械が登場し、令和4年度からは自治体が機械を購入する時に国から補助金が出るようになりました。そのため、3歳児健診でフォトスクリーナーによる屈折検査を実施する自治体が増えてきています。
いろんな検査があるんやなぁ…!
健診などでしっかり目の検査を受けて子どもの目を守りましょう!
参考サイト
- 日本眼科医会「3歳児健診における視覚検査マニュアル」
- 日本眼科医会「園医のための眼科健診マニュアル」
- 日本弱視斜視学会「検査の説明」
- 日本視能訓練士協会「目の健康チェックシート」
- 日本視能訓練士協会「3歳児健康診査における視覚検査マニュアル(第2版)」